中1の終わり、ある日をきっかけに娘はほぼ1年間、外にでられなくなった。
中1の春休み。
家族3人で関西への旅行の予定だった。
学校へは行けていなくても旅行なら楽しめるだろうと、
娘に少しでも経験を積ませたいと夫が計画してくれたものだった。
しかし、朝早かったことも影響したのだろう。
空港へ向かう途中から娘の体調が怪しくなり、空港に着くといよいよ急激にお腹を壊してしまう。
出発の時間が迫る中、娘は空港のトイレから一向に出てこない。
刻一刻と過ぎていく時間。
結局、飛行機に乗ることはできず、旅行はその場で当日キャンセルになった。
【事実】旅行のドタキャンをきっかけに始まった、引きこもり
いつもは娘に寛容な夫だが、この時ばかりは違った。
「どうして旅行なのに体調を整えておかないの。まず行くのを優先してよ」
「もう二度と一緒に旅行なんて行かないよ」
激怒。子どもっぽい、、。
けれど、せっかく有給をとったのに行けなかったのと、
直前キャンセルで結構な額が流れてしまったのとで、気持ちは分かる。
人がテンパるのって、
大抵、時間・お金・人との約束がたいてい関わっていて
自分ではない誰かが思い通りにいかない瞬間だと私は娘を通して学んだ。
この時は、普段は仕事中心でマイペースな夫にとって、
不安が引き金となって体が動かなくなる娘の特性を
身をもって実感した瞬間だったように思う。
私自身は一部がマイル使用だったこともあり、
「100%のキャンセル料でも仕方ない」
「夫も娘のこういう一面を知る良い機会になった。いつも他人事なので実感して欲しい」
と思っていた。
けれど、娘にとってはそうではなかった。
空港からの帰り道、
タクシーに乗るのも「途中でまたお腹が痛くなってもすぐ降りられない」と怖がり、
いつでも降りられるよう電車で一駅ずつ確認しながら、途方もない時間をかけて帰宅した。
好きな映画を見に行く時などは用意が早いし準備万端なので、
本当は、旅行自体にそこまで乗り気ではなかったのかもしれない。
うまく行かなかったことに加えて、父親が瞬間的に怒ったのを見たのが初めてだったのだと思う。
この日の出来事は娘の心に強烈なショックとして刻まれ、
それをきっかけに、外に出ることそのものへ不安を抱えるようになってしまった。
それまでは、親と一緒であれば私用の外出は問題なくできていた。
しかし、この日を境に1人での外出はもちろん、親が付き添っても外に出られなくなってしまった。
小4から通っていた発達外来のカウンセリングにも行けなくなり、
1歳から続けていたピアノも教室に通えなくなって、
先生の配慮でオンラインに切り替えて細々とつなぐことになった。
中2の1年間は学校へ1日も行っておらず、
担任の先生とは最後まで顔を合わせることがないまま終わった。
【対策】親がやりすぎていた「手厚いサポート」
「外でお腹を壊して動けなくなったらどうしよう」
一度の失敗体験が、娘の頭から離れなくなってしまったのだと思う。
中2の時期は、予期不安とストレスによる腹痛を頻繁に訴える日々が続いた。
このまま娘の元気が完全になくなってしまったらどうしよう――。
焦りを感じていた私は、とにかく娘の顔色をうかがい、
少しでも自信をつけてもらおうと家の中でできる限りのサポートをしていた。
- 生活習慣を整えるために毎朝声をかけて起こす
- 3食のごはんを用意する
- 「勉強だけでもしておいた方がいいんじゃない?」と声をかける
- 中2から始めた週2回のN中オンラインの日は、忘れていることが多いので事前に声をかける
- 「コンビニだけでも行ってみない?」と外へ促す
- 日常生活のちょっとしたことができただけで、幼児期のときのように褒める
- ピアノの先生との連絡やスケジュールのやり取りをすべて代行する
- N中の面談で「話せない」と言うので同席し、先生に対して娘の代わりに話す
【結果と考察】生活リズムの崩れと、スマホ12時間依存
手厚く支えてあげることが、娘の自信や安心に繋がるはずだと思っていた。
結果、娘は自分で何もしなくなり、食欲も落ちていった。
些細なことで急に泣き出すことが増え、目の下には濃いクマができて明らかに寝不足そうだった。
怪しいと思っていつも手放さないスマホを確認してみると、1日に12時間以上使っていることが発覚した。
今思うと、先回りしてフォローしすぎていたと思う。
生活リズムも精神のバランスも完全に崩れてしまっていた。
「このままではいけない」と中2の2月頃に対応を見直すことになるのだけど、
当時は手探りで、何が正解かも分からないままだった。
次は見直すきっかけになった、恐るべしスマホ使用時間 1日12時間です。

