映画をすっぽかされた日

中3の夏休み。
世間の受験生たちは塾に通っている毎日だろう。
わたしのママ友さんのお子さんはみんな塾に通っている。
通ってなくても勉強しているはずだ。

そんな夏休みだけど、うちの子は夫と今日『ちいかわ』を観に行っている。

久しぶりに猫とわたしだけの家。
少しゆっくりできると思い、いそいそとブログを描いている。

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6月頃の話。本から始まった映画の約束

我が家の我が道を行く中3の娘は、相変わらず自分のペースで自室で過ごしている。
ピアノを弾いたり、絵を描いたり、猫と戯れたり幸せそうだ。

そんな中、娘が夫に借りてSF小説『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を読んだ。
夫「映画2回見ちゃったんだよねえ。面白かった」と言いながら、
自分が積ん読している本を娘に渡す。

夢中で読み終えた娘は、
映画に「どうしても行きたい!」「絶対に見に行きたい!」と言ってきた。

私は本を読んでいないけれど、娘があらすじを事細かに教えてくれたので
オチまで知ってしまっていた。

上映が終わりかけだったのもあり配信でいいのではと思ったけれど、
普段あまり外に出たがらない娘が元気になるのであればと、
渋々とチケットの手配を引き受けることにした。

場所は都心の映画館。
混雑するお昼過ぎの賑やかな街は娘にとって刺激が強いと思い、
朝一の回(9時30分スタート)をチョイスした。
「この時間で大丈夫?」と事前確認もきちんと行い、
本人からも合意を得た上での予約だった。

「あと15分」の壁と、動かない娘

当日の朝。
9時に出ないと間に合わないからね」と、私は前もって何度も娘に念押しをしていた。
しかし、出発まで「あと15分」となった時間になっても、
娘は自分の部屋のベッドで横になったまま一向に起き上がる気配がない。

パパみたいに、間に合うようにタクシーを使って行くなんてことはしないからね!」と釘を刺すと、
娘からは「わかってるってば」と、なぜか怒り気味の返事が返ってきた。

逆ギレである。

時刻は9時16分。
「わかってる」と言いながら、準備すら始めずに横になり続けている。
自分が「行きたい」と騒ぎ私が時間とお金を割いて用意した予定なのに、当の本人がこの態度なのだ。

あぁ、いつものやつか……と思い、
私はその日、映画へ行くことを諦めることにした。
(私1人で観に行くという選択肢もあったけれど、元が出不精なこともあり、後で配信で観ればいいやと思ったのだ)

親だからずっと付き合い続けないといけないけれど、
友達に同じ事をしたら即・絶交ものだよなぁ、と思う。

今のところ娘には、友達と言える子が1人もいないので安心だけれど。

チケットのキャンセルもできないし、ただただ強い閉塞感を感じた。
我が家では、こういうことが日常茶飯事である。

小学生の頃までは、いちいちくどくど注意したり、なだめすかしたり、未来の不登校や先行きを心配して手を焼き続けていた。
けれど、中学生になってからの紆余曲折を経て、娘も自我がはっきりし、自分で判断できる年頃になってきた。

だからこそ今は、過剰なサポートを極力減らし本人の成長を促すために、
言いたいことをぐっと我慢してスルーする対応をとっている。

それに考えようによっては、今回はまだ誰にも迷惑をかけていないし、
周囲の目を気にする必要もないだけ、マシである。

私はお出かけモードを解除し、部屋着に着替えた。
9時に出ないと間に合わないって何回も言ったよね。
もう9時16分だからアウト。今日の映画は完全になしです。
と伝え、そのまま存在をスルーすることにした。

余計な気休めを言ったり、機嫌を取ったりしないよう気をつけている。
自分が「いい」と言った時間を破り、
動かなかった結果として楽しみにしていた映画を観られなくなるーー

その事実を、身をもって味わってほしいからだ。

社会との接点が少ない娘にとって、
自分の行動(あるいは不作為)が招いた結果や気まずさを、
リアルな損害として体験する貴重な機会になればと思った。

そのために私は感情的にならず、できるだけ端的に伝えて引くことを心がけている。

……けれど、今のところあまり上手くはいっていない。
私たちは今も、同じ失敗と葛藤を何度も、何度も繰り返している。

結局行かなかった映画と、今日のちいかわ

『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は、結局夫が最終日ぎりぎりなって
「じゃあ僕と行こうか」と手を差し伸べ、
結局娘を連れて出かけてしまった。

台無しである。

映画を観るのがこれで3回目になる夫と一緒だったからか、
安心した様子で娘はサクサクと準備をして出かけていった。
そして「面白かった〜!」と言ってニコニコで帰ってきたのだ。

ちなみにその時、映画は最終日だったけれど、Amazonプライムでの配信はもうすでに始まっていた。
本当、小憎たらしい娘である。

今度また映画をすっぽかしたら自分でお小遣いを出して、
予約の画面まで自分で準備して持ってくること。

そう伝えたけれど、本人は話半分でしか聞いていなかった。

そんな6月の出来事を経て、今日。
娘は夫と『ちいかわ』の映画へドタキャンすることなく出かけて行った。

今日はちゃんと時間通りに出て行ったから、まあ良しとしよう。

世の中3受験生の親が見たら、「うちの子の方がマシ」と
かなり下に見られるレベルだと思う。

「よし」とする基準が低すぎて泣けてくる。

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