【記録00】異常な初期起動と「のびのび」への拒絶(0歳〜幼稚園)

育児というものは、多くの場合「標準仕様」の枠内で語られる。母子手帳のチェックリストや、月齢ごとの成長目安といったマニュアルだ。
しかし娘は、0歳の時点ですでにその標準フォーマットを完全に無視して稼働していた。
世間は集団への不適応を「親の育て方」のせいにしたがるが、それは解像度が低すぎる。
彼女が既存のシステム(学校や集団)と衝突するのは、後天的なエラーではなく必然の「初期仕様」だったようにも思う。
これは、のちに教育現場の貧弱なOSと衝突していくことになる規格外のハードウェアの、あまりにもイレギュラーな「初期起動」の記録である。

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不要なプロセスをスキップする合理性

娘の規格外な特性は、乳児期からすでに片鱗を見せていた。
育児書に必ず書かれている「寝返り」というプロセスを、彼女は一切やらなかったのである。子育て支援センターに相談へ行くほどだったが、彼女はある日突然、寝返りという手順をすっ飛ばして「ハイハイ」をし始めた。
目的(移動)を達成するために、不要なプロセスはスキップする。思えばこの頃から、既存のルートを無視する彼女のシステムは稼働していた。

異常な言語処理能力と過敏性の同居

一方で、極度の警戒心の強さ(過敏性)も持ち合わせており、母親である私の周りから絶対に離れない子だった。現在に至るまで、彼女は1人で外に出ることを嫌がる。
しかし、インプットとアウトプットの能力は異様だった。2歳の頃には暗記ではなく、自力で文字を解析して絵本を黙読し、3歳になる頃にはすらすらと活字を読みこなしていた。

「のびのび教育」という名のノイズ

通わせたのは、地元でも「のびのび育てる」と評判の幼稚園。しかし、彼女は3年間のうち2年間も通園を嫌がった。大人からすれば「のびのびして自由な良い環境」かもしれないが、高い知能と過敏なセンサーを持つ彼女からすれば、ルールがなく予測不能な幼児たちが暴れ回る空間は、ただの「苦痛なノイズの海」でしかなかったのだ。ここから、集団生活という名のバグとの戦いが始まる。

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